にしや工藝こだわりの「拭漆(ふきうるし)塗り」
当工房では、多くの家具に施す仕上げとして拭漆塗りの技法を使っています。
漆塗りというと、多くの人は木の茶碗などの仕上げに使われているイメージを持つかと思いますが、実は家具と漆の相性も抜群です。
また、「拭」という字が使われている理由は、生漆をすり込んでは拭き上げ、乾かすといった工程を何回も繰り返すためです。
拭漆塗りを施す最大の目的は木の表面の保護です。
漆を塗った木の表面に熱い湯のみや冷えたコップを置いてもシミとなってしまうことがなく、加えて硫酸などの強い薬品にも浸食されない耐薬効果もあるのです。
更に、自然塗料である漆は人口塗料とは異なり、健康に及ぼす被害がないという点もメリットの一つです。
また、漆を塗る目的は表面保護だけではありません。
それは拭漆塗りを施すことで、木の表情を最大限に生かすことができるということです。
木の表面に漆を塗っても木目が隠れることはなく、それぞれの木が持つ木目の美しさをしっかりと強調することができます。
これにより、家具の表面に高級感のある艶を出すことができ、しっとりとした自然な光沢が演出されます。
拭漆塗りで仕上げた家具を数十年使い続けていると、明るい色味になってきます。
これは漆特有の経年変化によるものですが、決して劣化ではないということです。
漆は使い続けることで、さらに深みを増し、味わい深いものへと変化していくのです。
そのままお使いいただき、色の変化を楽しんでいただいても良いですが、「お色直し」として漆を塗りなおし、ご家族や大切な人に受け継いでいっても良いでしょう。
なぜ、にしや工藝がここまで拭漆塗りという手法にこだわるのか。
それは、あなただけの大切な無垢の木家具を長く使い続けてほしいからです。
漆塗りには、木の表情を生かしつつも家具を長期間使い続けるための伝統的な技と知恵が凝縮されています。そんな世界に一つだけの家具を、家族のような存在として迎え入れるために、漆は陰の主役となってくれます。